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三つ目には、人類共通の財産である自然と文化、文化は過去の遺産と同時に現在の文化も含んでいますが、守っていく方法を模索し、旅行客にも訴えていくことです。
四つ目には、予定管理者である添乗員がシルクロードに関する予備知識、及び文化交流の歴史について、もう少し勉強して頂きたいと思います。特に現地のガイドの案内だけではなく、時にはそれをカバーして、お客さんの方に説明して頂きたいと思います。
シルクロードはそれだけでひとつのディストネーションといえますが、その魅力は尽きません。一木一草も見えない砂漠、神々の存在を予感させる7,000m級の雪山、苛酷な気象・自然条件。そのなかに続く細い1本の道。あまたの人々が幾多の苦難に耐え、きりひらいてきた道。なにを求め、なにを支えにこの苦しい道のりを歩みつづけたのか。人はなぜ、これほどまでに道にこだわりつづけてきたのか。車を降りてすこしでも歩けば、「道」自体のもつ魅力が五感に訴えかけてきます。そのなかにあるオアシスのもつ「生命」、「人々の営み」。数多くの史蹟・廃城は多くの民族と文明興亡の歴史を物語り、さまざまな芸術と生活が混じりあい、溶け合い、そして新しく生まれたものが現在の人々のなかに息づいています。
シルクロード観光が始まった時期に彼の地を訪れたお客様は、苦しい旅を強いられたにもかかわらず、私たち旅行業者に感動と感謝の言葉を述べられることが多かったようです。帰国後、旅行で受けた感銘を手記に残される方も多く、ツアー参加者の写真交換会、数年後も続く同窓会など、自然発生的に交流が行なわれています。
私たち旅行業者は今後も、この素晴らしいシルクロードを大切にして、旅づくりの原点に立ち戻り、より多くのお客様に感動を与える旅のお手伝いをしてまいりたいと考えております。

 

 

 

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